第3話:サロンからはじまった実践の日々
「専門家ではない自分が、人の悩みにどこまで踏み込んでいいのだろう?」
多くの支援者の方が、そんな“資格”の壁を感じたことがあるかもしれません。
今日の物語は、私が「美容師ではない」という、いわば“素人”の立場から、髪に悩む方々と向き合い始めた、実践の日々のお話です。 しかし、その立場こそが、やがて大きな確信へと繋がっていきます。
2008年、地方のマンションの一室で、紹介制による小さなヘナサロンをスタートしました。当時はまだガラケー全盛期。告知は手作りのチラシだけという時代です。
そんな中、訪れてくださったのは、美容師に「もうこれ以上染められません」と言われた50代以上の女性たち。頭皮に炎症があったり、薄毛が進んでいたり…
見た目にも「化学染料はもう無理」と感じさせる方ばかりでした。
美容院でもなく、古びたマンションの一室。
そこに、一枚のチラシを頼りに、髪に悩みを抱えた女性たちが…
半信半疑で、私に”疑いの目”を浮かべながら、恐る恐るドアを開けてくださいました。
あの頃の光景。
特に初対面で交わした、緊張感に包まれたあの空気は、今でも忘れられません(笑)
でも、一度体験して安心すると、今度は同じ悩みを持つ知人を連れてきてくださるようになりました。
「ヘナっていいらしいけど、本当?」
そんな小さなうわさが、クチコミで少しずつ広がっていったのです。
当時使用していたのは、ヘナ・インディゴ・植物オイルなどの、シンプルな天然素材のみ。
私は一緒に塗布の手順を確認しながら、必要に応じてサポートする、いわば “ヘナの使い方教室”のような形で運営していました。
そしてある日、驚きの出来事が起きます。
あるお客様が、かつて「染められません」と断られた美容院に髪を見せに行ったところ、美容師がその変化に驚き、「いったいどこで染めたのですか?」と詰め寄られたそうです。
その後、なんと私は、「無許可で美容業務を行っている (もぐりだ!)」と保健所に通報されたのです! もちろん、当時から「施術する場」ではなく、「ヘナの使い方教室」として運営しており、保健所からの聞き取り調査でもまったく問題はなく、運営を続けることができました。
このとき、私は強く思いました。
「え?美容師さんって、ヘナのこと知らないんだ?」
当時は本当に、そう驚きました。
でも、あれから15年以上経った今でも、「ヘナ=毛染め」の認識は、業界の中でも根強く残っているのです。
実際、今でも美容師さんや美容室オーナーの方から、「お客様がヘナを使い始めたのですが…」「アドバイスの仕方がわかりません」と、私の元へ相談が寄せられることが少なくないのです。
この経験を通して私は確信しました。
多くの髪の悩みの根本には、化学製品の使いすぎによる”負担”があります。そして、ヘナやインドのハーブは、まさに自然療法と同じ視点をもつ”お手当て”として働いてくれるのだと。

当時の様子イメージ:当時の写真がありません😅
この保健所の一件は、私に一つの大きな“確信”を与えてくれました。 それは、「業界の常識」が、必ずしもお客様を救うとは限らない、という事実です。
多くの髪の悩みが化学製品の“負担”から生まれるように、多くの心の悩みも、その人自身の“思い込みという負担”から生まれているのではないか?
なぜ、美容師という専門家が見つけられなかった答えが、素人である私には見えたのか?
その核心に、少しずつ迫っていきます。

