理想の上司という幻想
2020年のコロナ禍から約1,200日、私は“痴呆の父”と暮らしてきました。
その時間には、一言では語り尽くせないほど、さまざまなドラマがありました。
今日は、その中からひとつのエピソードをご紹介します✨
父は、昭和の典型的な「頑固で短気」、そして「何事にも厳しい」タイプ。
元柔道部で体も大きく力も強く、まさに熱血漢そのものでした💪
子どもの頃の私は、そんな父がとにかく苦手で、「感謝」どころか、いつもビクビクしていた記憶ばかり。
「絶対に父のようにはならない!」と心に決めて、成人するとすぐに家を出ました。
社会に出てからは、さまざまなタイプの先輩や上司に出会い、多くのことを学びました。
「理想の上司って、どんな人だろう?」
職場が変わるたびに、「この人はいい上司」「あの人はちょっと…」と、自分なりに評価していたものです。

でも今思えば、それもすべて“父のようにはなりたくない”→「僕のやさしいパパはどこにいるの?」という期待だけで見ていた、「甘えん坊の僕ちゃん」がいましたw
理想の父像を追い求めるあまり、無意識に上司たちをフィルター越しに見ていたように思います。
そんな私が、社会人生活の中で、多くの困難が起きて路頭に迷ったことがありました。
孤立して落ち込んでいた私に、そっと電話をくれたのが父でした。
「いったん、戻ってみてはどうか?」と..
サラリーマン生活のほとんどを、熱血営業マンからたたき上げで役員まで上り詰めた父。
そこには、かつての厳しい父ではなく、自分の理想の上司に見えたのでした。
地方暮らしを一旦終えて、埼玉の実家に戻ることに。
実家に戻ることは、自分の中で負けた気がしてモヤモヤ。
近所のおばちゃんにも、「いつまでいるの?」と聞かれて、日中は外に出たくなくなるし、「俺、何やってんだよ、もぉぉ~~」っとモヤる毎日が続きましたww
でも、心のどこかで、「いずれ両親を看ることになるだろう」と覚悟をしていた自分もいたんです。
話は戻りますが…
久しぶりに戻った実家で出会った父は、背中が丸くなり、まるで別人のように小さくなった姿。
そこから数年掛かりながら、介護認定されることになりました。
いよいよ、はじまるか..と、介護という未知の世界に、不安と(なぜか)ワクワクもありました。
あるとき、夕飯を出すと、決まってこう聞いてくるのです。
父:「これからお帰りですか…?」
※ 息子を“ヘルパーさん”だと思っている様子(笑)😅
痴呆が進むにつれ、父はどんどん穏やかで素直になっていきました。
そして、なんとも言えない愛おしさがこみ上げてきて、思わずその場で父を抱きしめたこともあります(笑)
私は社会に出てからずっと、理想の上司や先輩を探し続けてきました。
でもその“理想”は、意外にも、こんなに身近なところにいたのでした。
父さん、本当に長い間お疲れさまでした。
そして、ありがとう\😀/
*現在は施設に入って穏やかに暮らしております
P.S.
これから介護が始まりそうなあなたへ。
不安な気持ちはとてもよくわかります。
でも、心配しなくて大丈夫。あなたにも、きっと“かけがえのない時間”が訪れますよ。

